椎間関節の特徴から,腰や膝など他の関節への負担のかかり方を考える

椎間関節とは

背骨は7個の頸椎12個の胸椎5個の腰椎,仙骨,尾骨で構成されています

一つ一つを椎骨と言い,頸椎,胸椎,腰椎は上の椎骨と下の椎骨をつなぐ為に後方で関節を形成しています.

この関節を椎間関節と言います.

 

椎間関節の役割

 

【動きの役割】

椎間関節は脊柱の動きを作っています.(具体的には以下の椎間関節の動き」の項目を参照)

体を動かす為の一番根本となる関節です.

例えば,ダーツやボーリング,バスケのショットなど手元で1°ズレてしまえば,目標到達点に達した時には大きくズレてしまいます.

このように,動きの根本の関節である椎間関節で1°可動域制限が生じるとそれよりも先の動きにかなり悪影響を及ぼします.

しかし,人間の体には関節がたくさんあるので他の関節で代償します.動かない関節があると他の関節が大きく動く)

この負担が継続すると炎症を起こして痛みとなります.

 

【衝撃吸収の役割】

椎間関節は椎間板と共に衝撃吸収を行なっています.

上記の図を見ていただければわかる通り,椎間関節は構造的にダンパー作用があります.

人体には各椎骨間に椎間関節,椎間板があり,それぞれの関節で衝撃(床反力や体重負荷)を分散しています.

椎間関節が硬くなっていると衝撃吸収作用が減少し他の関節などに衝撃の負担がかかることになります.

この負担が継続すると炎症を起こして痛みとなります.

例えば,胸椎の椎間関節が硬くなることで,腰や首に負担がかかり,腰痛や頸部痛になることはよくあります.

それ以外にも手首の腱鞘炎や膝の痛みにつながることもよくあります.

椎間関節の動き

(参考文献:筋骨格系のキネシオロジー Donald A.Neumann)

【頸椎 椎間関節の動き】

伸展(反らす) 80°
屈曲(曲げる) 50°
側屈(横に倒す) 40°
回旋(回す) 80°

【胸腰椎 椎間関節の動き】

 

屈曲 85°
伸展 40°
側屈 45°
回旋 40°

椎間関節の動きの特徴

大きく分けて頸椎の椎間関節,胸椎の椎間関節,腰椎の椎間関節には,椎間関節の形状から動きの特徴があります.特に回旋について解説します.脊柱回旋骨模型

簡略化した模型を実際に回旋させた画像です.(実際は靭帯,肋骨など他の骨,筋肉などが影響するため動きの傾向と捉えていただきたい)

画像から腰椎のみ回旋していないのがわかります.

図の真ん中,体軸回旋の項目を見ると下に行くほど角度が少ないことがわかります.

椎間関節形状の違い

図では少し確認しにくいですが,
頸椎>胸椎>腰椎の順で関節面が斜めに開いています.

見た目で腰椎が回旋しにくそうだなと感じていただければ大丈夫です.

つまり,胸椎が回旋しにくくなると,腰椎の椎間関節に負担をかけるということです

腰椎の分離症や滑り症のそもそもの原因にもなり得ます.

椎間関節はなぜ痛いのか

椎間関節には関節包と言われる関節を包む膜脂肪体と言われる緩衝材のような物があります.

これらは神経支配を受けており,痛みの原因となります.(Giles LG,Taylor JR.2005)

これらが長時間の不良姿勢や動作中の瞬間的な圧迫や牽引により炎症を起こすと痛みとして脳に伝わります.

また,炎症が起きると修復過程で周囲の組織と癒着し,関節の動きを制限することで二次的な障害につながります.

まとめ

椎間関節は脊柱の動きや衝撃吸収の役割をになっている.

椎間関節の動きの特徴として腰椎はほとんど回旋しない.

硬くなると他の関節へ負担がかかる.特に多いのは胸椎が硬くなり,隣接関節である肩や腰に負担がかかり,五十肩や腰痛の原因となる.

椎間関節は痛みを感じるので痛みを出す.