なにか思い物を持ち上げた瞬間や捻った瞬間などぎっくり腰を経験した事がある人は多いと思います.
この記事では実際にぎっくり腰で動けない方がするべき事をお伝えしたいと思います.
急ぎの方は目次から「実際自分で出来る事」の項目まで飛ばしてください.
ぎっくり腰って?
ぎっくり腰の原因は人によって様々です.色々な研究がされており,色々な結果が出ています.
その中でも特に多いと感じるのは,背筋の肉離れ,椎間関節の一時的な亜脱臼や損傷がほとんどだと感じます.
ぎっくり腰のほとんどが炎症が収束する1週間から2週間で痛みが消失してきますので安心してください.
しかし,ぎっくり腰が起こるのは偶然ではありません.きっかけはたまたま普段しない動きをした時ですが,その動きを健康な他の人がした場合,同じようにぎっくり腰になるでしょうか.恐らくならないと思います.
なぜなら普段の姿勢や動きの特徴から体のアンバランスが生まれ,健康な体なら大きな負担にならないような動きでも自分の体では大きな負担になってしまい,炎症が起こり,ぎっくり腰となるからです.
まずどうすればいい?
◆第一に整形外科を受診してください.
整形外科ではレントゲン,MRI,CT,エコーなどで検査し必要であれば,注射やコルセットが処方されると思います.
注射ですぐに改善すれば一番良いのですが,ほとんどはロキソニンなどの痛み止めや湿布を処方されて,しばらく様子を見てくださいと言われると思います.
整形外科を受診する一番の理由は,骨折や急性の腰椎椎間板ヘルニアなど重篤な疾患ではないかを確認する事です.ぎっくり腰で整形外科を受診し「腰椎椎間板ヘルニア」と診断される事は多いですが,ほとんどはヘルニアが原因の痛みではありません.確かにMRI上ではヘルニアが確認できますが,海外の研究で症状がなくても腰のMRIを取ると70-80%の人がヘルニアがあったという研究があります.
(Boos et al:Spine,20:1995)
その他にもよく似た研究は散見されます.
しかし,本当に急性の腰椎椎間板ヘルニアになっている事があります.
・トイレの感覚がわからない.
・上向きで膝を伸ばしまま上げようとすると痛くて上がらない.
といった症状がある場合は急性の腰椎椎間板ヘルニアになっている可能性があるのですぐに手術になる場合があります.
それ以外はほとんどが1ー2週間以内にみるみる痛みが改善してきます.
放っておいても痛みは改善してきますが,安静にするのは危険です.
炎症が起こると修復段階で周りの組織と癒着し,新たな問題が発生する可能性があります.
そのため,安静にせず次の項目「実際自分で出来る事」を参照にしてください.
実際自分で出来る事
ホヤホヤのぎっくり腰でほとんど動けないくらい痛い場合の対処方法を紹介します.
◆ 骨盤 前後傾
- 背筋群の収縮を繰り返すことで筋肉のパンピング作用で,血液循環を促進し治癒を促進する.
- 背筋の損傷がある場合は癒着を予防する.
- 背骨の後ろの関節(椎間関節)を動かすことで,筋肉の過緊張を緩める.
- 1回に20回程度
- 痛みがある場合,無理に行き過ぎず可能な範囲で繰り返し行う.
写真のように無理して大きく動かし過ぎず,ほんの少しだけでも良いので出来る範囲で動かしてください.
座って出来ない場合は横向きで寝ながらでも大丈夫です.
痛みが収束してからの体操
上記で述べたようにぎっくり腰になるという事は自分の体の中に原因がある事がほとんどです.
そのほとんどが脊柱の柔軟性が低下しています.
脊柱の柔軟性を改善するために体操をする必要があります.
1−2週間経って痛みが改善したらしっかり体操することを強くお勧めします.
◆ ドックキャット
この運動は脊柱全体の柔軟性の向上と脊柱周辺の筋肉のバランスを整えるために行います.
- 丸める時→息を吐いていくようにする
反らす時→息が抜けていくようにする
※ どちらも息を吐きますがニュアンスが少し違います - 3秒かけて丸めて,3秒かけて反らしていく
- 基本的には前後の動きは避け,上下の動きを意識する
◆胸椎伸展運動(パピー)
- 出来るだけ力を抜いて②の項目(顎を引いて,みぞおちを下げる)のみ意識する
- 1分程度持続
- 息を吐きながらみぞおちを下げる
- 首からかけたネクタイをピンッと伸ばすようなイメージ
自分で思っている以上に出来ていないこと多いので,
実際に行なっている姿を写真に撮ってもらって確認できればbetter
腰が痛くなる場合はしっかりみぞおちを下げるようにする.
◆ 脊柱回旋運動
- しっかり開いたところで深呼吸しながら5秒キープを5回程度
- 左右実施
- 朝晩など一日に2回できればOK
限界を超えようとせず,今出来る範囲できっちり行なっていくと徐々に可動域が広がってきます.
痛みの出ない範囲で行なってください.
痛みが出ると余計に硬くなったり,二次障害につながります.
普段の姿勢も注意する必要があります.
以下のような姿勢では体のアンバランスが起こりやすいので注意が必要です.
まとめ
- ぎっくり腰になったら整形外科を受診する
- 1−2週間は湿布や痛み止め,可能な範囲の骨盤体操を実施する
- 痛みが収束してきたら,脊柱のストレッチを行う